嫌な気分の悪循環を断ち切るためには、自分の考え方の癖を見つけ、考え方の幅を少しずつ広げられるようになっていくことが大切です。
私たちが嫌な気分を感じるとき、いつのまにか嫌な気分の悪循環に巻き込まれているとき、そこには自動思考が潜んでいます。
気分のありようは考え方に影響されるため、たとえ同じ状況であっても、人によってその場面で感じる気分が異なるのは、頭の中に自然と浮かんでくる考え=自動思考の影響を強く受けているためです。
特に嫌な気分の時に現れる自動思考は、極端な偏りがあることが特徴です。
自動思考は信念の影響を大きく受けていますが、この信念が物事を極端に捉えようとする「鋳型」のようなものを作り出してしまいます。
この「鋳型」のことを考え方の癖=スキームと言います。
このスキームには様々な種類があり、私たちが体験した出来事はそれぞれの「鋳型」によって、色々な形の自動思考へと加工されます。
普段であれば余分なエネルギーを消費せず物事を判断・処理することができますが、強いストレスにさらされるとこの「鋳型」に大きな変化が生じ、それに伴って極端な自動思考が生み出されます。
その結果、ネガティブな思い込みが強くなり、嫌な気分がどんどんと強くなってしまいます。
代表的なスキームはいくつかありますが、私たちの心の中には全てのスキームが存在しています。
しかし、強いストレスにさらされたとき、人によって1番影響を受けるスキームは変わってきますので、まずはどのようなスキームがあるか理解しておくことが大切です。
代表的なスキームの例
①白黒思考
物事や状況に対して「良いか悪いか」というように、極端な2つの判断軸で考えてしまうことを言います。
例1)書類に些細なミスを見つけた
→失敗したから全てやり直しだ!
例2)仕事の期限が迫ってきたが、終わっているのは8割程度
→完璧に仕上げなければ提出できない!
②レッテル貼り
私は〇〇な人間、あの人は〇〇な人だというように、ネガティブなレッテルを貼り、他の部分を見ないようになってしまうことを言います。
例1)面接で不採用になった
→自分はダメ人間だ!
例2)過去に体育会系の部活の先輩から、厳しくされた
→スポーツをやっている人は高圧的な人間だ!
③すべき思考
自分や他人に対して○○すべき、○○でなければならないといった、自分の基準で考えてしまい、その基準に合わないことは全て否定してしまうことを言います。
例1)人から嫌われてはいけない
→常に笑顔で相手の言うことを聞かなければいけない!
例2)仕事はチームでやるべき
→自分勝手な行動をする奴は失礼だ!
④個人化
悪い出来事が起こると、自分とは関係ないことであっても自分のせいだと考えてしまい、罪悪感で自分を責めてしまうことを言います。
例1)チームで担当していた業務にトラブルが生じた
→トラブルが発生したのは自分がいたからだ!
例2)友人とドライブしている時に道に迷ってしまった
→自分のナビゲーションが悪かったせいだ!
他にも様々なスキームが存在しますが、「どのスキームも自分に当てはまる」と感じたかもしれません。
しかし、問題なのはこのようなスキームを抱えていることではなく、スキームによって生じた極端な自動思考を全て鵜呑みにしてしまうことです。
私たちは強いストレスにさらされたとき、特定のスキームの影響を強く受ける傾向にあるため、どのスキームの影響を受けやすいか知っていると、「ああ、白黒思考に偏って完璧を求めすぎてしまったから、6割程度の力でいこう。」といったように、極端な自動思考に気づいて修正しやすくなっていきます。
嫌な気分から抜け出すためには、まずは嫌な気分になる自動思考をとらえ、どのスキームの影響を受けやすいかを把握していく必要があります。
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